中でも最高級のグレードのハンマーを選りすぐり、入念な調整をされて
レンナーアクションと一体になり音楽を表現します。
簡単にいうと繊維の長い丈夫な羊毛です。酸性雨などの影響で羊毛の繊維ももろくなり良質な素材は、本場でなくては入手が困難となっています。
もろい繊維の羊毛でハンマーを製作するとすぐに摩耗して深い弦のあと
がつきます。このためファイリング（ハンマーを削ってかたちを整えること）を短い間に繰り返さなくてはなりません。このためハンマーの寿命を縮めハンマーの取り替えをしなくてはならなくなります。
ピアノを一種の消耗品のように考えてきた日本のピアノはここでピアノの寿命がつきたと考えますが、ドイツピアノの場合はそうではありません。摩耗が少なく丈夫なハンマーを使うことは結果としてピアノの性能のみならずその寿命をも引き延ばすことになるのです。しかもついにこの特別なハンマーの寿命がつきたときも（ファイリングしても使えないほどハンマーが小さくなった時）全く同じハンマーを用意することがレンナー社には可能です。
ハンマーヘッドだけをレンナー社のハンマーに取り替える事は従来日本のメーカーのみならず調律師も行ってきましたが、設計や響板の素材が
悪い安物のピアノに装着すると必ずしも思わしい結果が得られませんでした。ピアノの響板の性能不足を補うために薬品加工した安物のハンマーで音量を得るという手法が取られていたためです。そのためハンマーをせっかくレンナーハンマーに取り替えても十分な音量が返って得られないという結果が生ずるのです。
薬品加工したハンマーではフォルテは何とか出せてもピアノの表現となると到底表現できません。フォルテとピアノは音楽的には単に音が大きい小さいというだけの単純な事柄ではもちろん無いからです。
特別な最高級のハンマーといえどもその音を生かす響板がなければその性能を充分に発揮することが出来ないのです。
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